【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
突然尋ねられてびっくりし、シルディーヌはお茶でむせそうになった。
「あ、あら。ペペロネったら、どうして、そう思うのかしら?」
きわめて平静を装って尋ね返すと、ペペロネは「シルディーヌったら、お芝居が下手だわ」と言ってくすっと笑った。
「だって、騎士団長はシルディーヌだけを助けて、先に連れて戻っちゃったわけでしょ? ほかにもさらわれた子がたくさんいて、まだ作戦は終わってないのに。そう考えるのが普通だわ」
「やっぱり、そう思うの、よね……?」
「ええ。廊下からうめき声が聞こえてきて、部屋の中でじっと救出を待つのはすごく怖かったわ。誰かが犯人たちを倒したようなのに、誰も助けに来てくれなくて」
そうだ、シルディーヌが焚き火のそばでお水をもらったとき、ペペロネはアジトの三階で震えていたのだ。
「私だけ、忘れられちゃったのかしらって思ったりもしたわ。そしたら、ほかの子たちも私と同じ状態で……でも、シルディーヌだけがいなくて……。先に帰ったって、しかも団長と一緒って聞いた時は、本当にびっくりしちゃったわ」
ちょっぴり恨みがましく言うペペロネの気持ちはもっともで、もしもシルディーヌが逆の立場だったら、きっともっと文句を言っているだろう。