【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
「そんなことより、俺は、お前が怒っているワケを聞いているんだぞ。素直に答えろ」
アルフレッドは不機嫌そうに言う。
それならそう素直に聞けばいいのに、アマガエルなんて謂うから話がそれたのだ。
「どうもこうもないわ。アルフの言っていた条件って、ここの専属になることだったの? 侍女長から聞いたときはショック過ぎて頭の中が真っ白になったわ」
「なにを言ってるんだ。これは仕事だろう。条件に入らんぞ」
「だって、今まで関係者以外一切立ち入り禁止だったんでしょ。急に『侍女が欲しい』だなんて、おかしいわ」
「前々から、掃除をする者が欲しいと団員から要望があったんだ。団員は忙しいんだ。当番制にしていても、おざなりだ。お前が配属されたのは、たまたまだ」
おざなりの掃除と聞き、シルディーヌは思い出した。
そういえば、とても汚かったと。
モップがみるみるうちに黒くなったのだ。
そう、剣を向けていたアルフレッドに攻撃を仕掛ければ、怯むだろうくらいに。
「でも、ここは怖いわ」
「む、どこがだ?」
「中に入ったらすぐにガタイのいい騎士の人たちに囲まれて、ちょっと息苦しかったの」
「囲まれただと? なにかされたのか!」
「違うわ。ちょうど任務に出掛けるところだったみたいだけど。じろじろ見られていろいろ言われただけよ」
「出掛けるところ……とは。ふむ、あいつらだな……」