【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
とっくに食べ終わっていたアクトラスもシルディーヌの後に続く。
使用人休憩室は、団員たちの食堂の向かい側にある。
厨房は食堂の横にあるが使用されておらず、団員らの食事は毎回南の食堂から運ばれてくるらしい。
いちいち面倒なことだと思うが、侍女侍従の立ち入りを禁じてからずっとそうしているから、これが普通で誰も疑問を持たなくなったようだ。
厨房の中にある専用の台車に食器を置き、シルディーヌは食堂の方を見る。
散らかり方はあまり変わらないが、くつろいでいる団員たちが昨日よりも少ない。
使用人の休憩室の十倍はある広さで、今からここを掃除すると思えば途方もない気がする。
「昨日いた団員は数人だけですね」
アクトラスが顔ぶれを見て、ぼそりとつぶやく。
シルディーヌはモップとホウキとハタキと手桶を用意し、大きく深呼吸をして食堂へ足を踏み入れた。
「みなさん! 今からここを掃除します! 食べ終わってる食器は片付けて、捨てられたら困る物は手に持って外に出てください!」
素直に従う騎士もいれば、「あ? なんで侍女がここにいるんだ」と不機嫌そうに言う騎士もいる。
相変わらずここに侍女が来ることは周知されていないようだが、シルディーヌは構わずに窓をガラガラと開け放っていった。
「おらおら、お前ら。シルディーヌさんの命令を聞け。逆らうと団長に殺されるぞ。おら、掃除の邪魔だ。手伝わねえ奴はしゃきっと出て行け!」