幼馴染は関係ない
6話 R15
※高校生の性行為を推奨しているわけではありません。


竜生にバイトの帰りはバスに乗れ。と言われても私は雨の日と体力的に疲れて徒歩は無理と思う日以外は徒歩で帰っている。
バイトへ向かう時は時間に遅れたら困るのでバスを使うけど、ゆっくりと歩いて帰るのは楽しい。
竜生が心配している様な事件みたいなものに遭うとは思えないし。塾帰りの小学生だってもっと遅い時間になるでしょ?って感じ。

同じ時間帯に歩いていると、散歩している犬がいつも一緒だという事に気付く。
「可愛いですね?」と話しかけてみたら、飼い主のおじいさんとちょっとした会話をするようになった。
「毎日バイトご苦労さん」なんて声をかけてくれるんだ。

もうすぐお盆。
我が家は13日に車でお父さんの実家へ行って、お墓参りをした後そのままそちらへ泊まり次の日の夕方に帰る。
だけど、今回 私だけは朝に帰ってくる予定。
だって、新君と会う約束をしているから。
新君も13日のお墓参り以外は自由にさせてもらえるらしい。
帰るまでにお姉さんの家には遊びに行きたいと言っていた。
「花音も一緒に行く?」
なんて言ってもらっちゃって、なんだか 私って新君の彼女なんだ~。と嬉しくなった。

「花音、夕方にはお母さん達も戻るからね?」
「うん」
「中元君によろしくね?」
と母は小声で言う。
実は私に彼氏が居ることを知っているのは母だけ。
父には転校した友達と会うから、と伝えた。

初めて新君を家に呼ぶ時、母だけに、
「今日、彼氏を呼ぼうと思うんだけど、いい?」
と訊いた。
母は、
「花音に彼氏!? え~!? 知らなかった・・・どんな子?どんな子?」
と質問されて、小学5.6年生の時同じクラスだった中元新君だと教えると、そりゃあもう嬉しそうだった。
「花音、凄すぎよ。 あんなカッコイイ子が彼氏? うわぁ、人生で最高に幸せな時期なんじゃない?」
「今がピーク? え~、やだ。 じゃあ、結婚とかしても今より幸せになれないってこと・・・?」
「中元君と結婚できれば今よりもっと幸せになれるんじゃない?」
と母は笑った。
「あのね、お父さんには・・・」
「言わないわよ。 お母さんだって、高校生の時の彼氏を自分の父親に教えたりしなかったもの」
「うん。 あと、上尾の小母さんにも言わないで欲しいんだけど」
「どうして? もしかして竜生君も知らないの?」
「うん、竜生は私と新君を認めてないっていうか・・・」
「確かに花音と中元君じゃ、花音が遊ばれてるって竜生君は思うかもね?」
「お母さんまでそんな風に思う?」
「お母さんは思わないわよ。 花音のことこの世で一番可愛いって思ってるから。
だけど、竜生君は花音を手のかかる子って思ってると思うから・・・あんなカッコイイ子に見初められるなんて信じられないかもね?」
「うん」
「わかったわ。 内緒ね?」
その後、新君が北海道に行った事、でもちゃんと毎日電話で連絡を取り合っていることも言っている。
母は、「遠距離は大変だと思うけど、好きな人を信じなきゃダメよ?」と応援してくれている。

今日は、新君を家に呼んでいる。
・・・両親が留守だって事も伝えてある。
うわぁ、緊張する。
久々に会う新君は、前と一緒で私を好きって態度を取ってくれるかな?

ピンポーン
「いらっしゃいっ」
私が慌ててドアを開けると、
「花音、久しぶり。 ドア開ける時ちゃんと相手確認した?」
と、開口一番新君は竜生みたいな小言を言った。

「新君! 会いたかった!!!」
ドアが閉まったと同時に私は新君に抱きついた。
「花音っ 僕も会いたかったよ」
抱きしめ返されてすぐにキスされた。
玄関先なのに、舌まで入りこむ熱っぽいキス。
「ふぁっ んっ あたらっくんっ」
「好きだっ 花音っ 花音っ」
靴を脱いだ新君は私を壁に押し付けて身体をまさぐりだす。
「待って・・・ここじゃダメ」
荒い吐息のまま私の部屋へ行き、そのままベッドになだれ込んだ。

慣れる程の回数した訳じゃない。
だって、初めて から一月半で新君は北海道へ行ってしまったから。
まだ数回しか経験がなくても、前と変わらず激しく私を求めてくる新君の行為に私は自信を持つ。
この人は私を今でもちゃんと好きなのだ。と・・・。

「いきなり、ごめん」
ベッドの中で新君は苦笑した。
「ううん・・・大丈夫。 嬉しかった」
私が言うと、新君は驚いた顔をして、
「花音も僕に抱かれたくて、我慢できなかった?」
と言われた。
新君、私を抱きたくて我慢できなかったんだ?
私はクスリと笑う。
「そういうんじゃなくて。 新君、向こうで好きな人できてないか不安だったから・・・」
「え?」
「だから、新君がちゃんと私を好きなんだって実感できて凄く嬉しくて幸せって思ったの」
「僕に好きな人って、どうして? 毎日電話してるのに?」
「・・・だって、私の代わりなんていくらでもいるんじゃないかって」
「僕が他の人を抱いてるかも?とか想像してたの?」
「・・・あの・・・」
「花音!?」
「怒らないで・・・だって、新君カッコイイし。 エッチも好きみたいだし、言い寄ってくる子と我慢できなくて・・・なんて考えちゃったんだもん」
「花音・・・僕、運動は今でも苦手。 だから全然モテてなんかないよ。 それに、エッチが好きって否定しないけど、それは花音が相手だからって解ってもらえてないかな?」
と不安そうな表情をした。
「新君・・・好き 好きで好きでどうしようもないの」
「僕も、花音だけが好き。 花音だから抱きたい」
同じ日に二度の愛し合う行為をしたのは初めて。

お互いにシャワーを浴びて、思い出の喫茶店へと向かう。
「お腹空いたね?」
「うん・・・私の顔 赤くない? 大丈夫かな?」
ついさっきまで新君に抱かれていたとマスターや奥さんにバレないか不安。
「ちょっと赤いかな? でも、そんな顔も可愛いよ」
さらりと新君が言うセリフに、私は更に赤面してしまうけど、「本当に幸せ」と何度も心の中で思った。

今日は、竜生の予定を聞いていない。
もしかしたら、新君と一緒の所を見られて嫌味や意地悪な事を言われるのかもしれない。
だけど、もういいんだ。 竜生に何を言われても。

私は新君が好きだし、新君も私を好きだと言ってくれている。
竜生に、
「お前は遊ばれてる」とか「身の程知らず」と言われたっていい。
私は竜生の言葉より、新君からの「好き」を信じる。

それに、竜生が新君と連絡をとるなんてできないんだから、私からの伝言みたいに「迷惑がっている」なんて事言える訳でもないしね。

竜生が、私と新君が付き合ってると知って、母みたいに「凄い!」と褒めてくれるのが一番の理想なのだけど、それは無理なんだろうな。
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