愛されることを受け入れましょう
「いいとか、ダメとかじゃないだろ?気持ちなんだから、自分でも制御なんて出来ないさ。
柚珠奈、考えてみてよ。俺が女の人と二人でいるだけで、どうして苦しくなったの?俺以外の、例えば理一君が女の人と二人でいても、柚珠奈は苦しくなるの?」

静かに、穏やかに。安心出来るいつもの樹くんの口調で問われて、会社での出来事が頭に浮かぶ。

矢口さんにアタックされてる理一君を見ても、全然苦しくなんてなかった。矢口さん凄いなー、なんてのんきな事さえ考えていた。

「‥‥ならない」

「でしょ?俺は柚珠奈の好きな人だからね、当然なんだ。だからもう諦めて、俺を好きだって認めろよ」

「でも、私なんかじゃ樹くんに釣り合わないし、樹くんだって‥‥あ!」

ぐずぐずと続くはずの言い訳は、樹くんに唇を塞がれて消えてしまった。

啄ばむ様に、角度を変えて何度も重ねられるキス。それはやがて長くなって、深くなって、私は息が出来なくなる。

苦しくなって、樹くんの胸をぐっと押したら、やっと離してくれた。
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