奏でるものは~第2部~

「こんにちは」

日傘を畳んで、玄関に声をかける。

パタパタと足音がして千奈美と千奈美の母も迎えてくれる。

「お久し振り、上がって」

「歌織さん、お久し振り。
素敵な着物ね。似合ってるわ」

手土産とお稽古代を渡して、家にあがる。

今日は、久しぶりだから堅いことはなしでお好きな着物で、と言われていた私は、絽の薄いグリーンの着物を着た。

千奈美たちも絽の着物で千奈美が水色、千奈美の母も紺色で涼しげにみえる。

「今日はお稽古というよりお茶席と思ってくださいね」

作法にちょっと不安を覚えたが、千奈美の真似をすればいいか、と思い

「ありがとうございます」

と応えた。




< 116 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop