奏でるものは~第2部~
「こんにちは」
日傘を畳んで、玄関に声をかける。
パタパタと足音がして千奈美と千奈美の母も迎えてくれる。
「お久し振り、上がって」
「歌織さん、お久し振り。
素敵な着物ね。似合ってるわ」
手土産とお稽古代を渡して、家にあがる。
今日は、久しぶりだから堅いことはなしでお好きな着物で、と言われていた私は、絽の薄いグリーンの着物を着た。
千奈美たちも絽の着物で千奈美が水色、千奈美の母も紺色で涼しげにみえる。
「今日はお稽古というよりお茶席と思ってくださいね」
作法にちょっと不安を覚えたが、千奈美の真似をすればいいか、と思い
「ありがとうございます」
と応えた。