奏でるものは~第2部~


夏に炭をおこすと部屋中が暑くて大変なの、と電気の入った炭鉢を見せてくれた。

「文明の利器ですね」

と言うと、笑いながら、

「そうね」

といつまでも、笑っていた千奈美のお母さん。


離れに茶室があるので、入り口で千奈美と暫く待つ。

お喋りはせず、茶室に入る前の軽い緊張感に作法を思い出す。


茶席と言ってもお稽古である。

マナーや細かい作法から、掛け軸の意味、飾られた花、道具や茶碗について、本当の茶席での挨拶や問答についても教えてもらう。

茶道は奥が深い。

学ぶところはたくさんあるのだが、道具の知識や問答は、茶会に呼ばれても私が披露することはないだろう。

一通り終わり、

「お疲れ様」

の一言で、ほっとする。

「お菓子を食べたけど、昼食を用意してるから食べましょ」




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