眠れぬ王子の恋する場所
「よく考えろ。好きでもないヤツと同居なんかするわけねーだろ。気付かなかったのか?」
「気を許してくれてるのかな、とは思ってましたけど……」
言葉のなかで、社長と私の名前を並べてくれているのを聞くと、社長と同じくらい信頼してくれているのかなって嬉しくなったりはしてけれど……。
恋愛という意味ではとらえていなかった。
だって、そもそも久遠さんにはそういう感情なさそうだと勝手に思っていたから。
「久遠さん……恋愛感情とかあったんですね……」
浮かんだ疑問を思わずそのまま口にすると、久遠さんは自分でもいまいち分かっていないのか、不思議そうに片眉を下げる。
「正直、よくわかんねーけど。おまえが他の男と一緒にいるのとか気に入らねーし、元彼だなんだって騒いでたときもずっとイラついてた。だから……会わせたくなくて、ここに住めって言ったんだし」
「……そうだったんですか」
お金が絡むと怖い……みたいなことも本当だったんだろうけれど。そんな感情も持っていてくれたのか。
「相手が男だろうが女だろうが、おまえが傷つけられてんのも見たくねーし。泣いてるとこも見たくない」
静かなトーンで告げられる言葉は嬉しいんだけど……ちょっとだけ引っかかる部分があって喜びきれない。
例えがアレだけど。
ヒナは、最初に見たニワトリを自分の親だと思うみたいな……なんていうか、最初に世話を焼いたりしたから母親代わりに思われていないかって思ってしまって。
だから「おまえのこと、俺だけのもんにしておきたい」と言われても、素直に喜べなかった。
「あの、それは女としてで大丈夫ですか?」
もし、違うとしても私は傍にはいるつもりだけど。
放っておけないし、傍にいるのが心地いいし……私は久遠さんがそういう意味で好きだから、離れようとは思わないけれど。
一応、久遠さんの〝好き〟のジャンルが知りたくて聞くと、キョトンとした顔を返されたから、「だから」と再度聞いてみる。