眠れぬ王子の恋する場所


「久遠さんの言う〝俺のものにしたい〟とかの独占欲は……その、身内に対しても思うことだと思うんです」

ここで〝母親〟と限定してしまうのは久遠さんを傷つけたり怒らせたりしそうだか〝身内〟と表現しておく。

トラウマうんぬんなくても〝マザコンじゃねー〟とか怒られそうだし。

「だから、私のこと気に入ってはくれているんだとしても、今まで足りていなかった部分の補填というか……それって女としてじゃなくて――」

言葉が途切れたのは、久遠さんにキスされたからだ。

ぐっと強引に押し付けられた唇に、そのままソファに押し倒される。
その間もキスは継続していて、押し倒されたことに驚き口を開けたところに、舌が入り込んでくる。

「ん……っ」

深く合わさったなか、奥に引っ込んでいた舌を見つけ出され、そのまま軽く吸われ甘噛みされ舐めとられる。

手は頬から滑り落ち、ゆっくりと顎のラインを辿ると、首、鎖骨と移動し、ブラウスの襟首から服の中へと入り込み肩に触れられる。

「ふ……ぁ」

久遠さんの冷たい手に触れられると、身体が震えてしまう。
それは冷たいからじゃなくて、どうしょうもないほどの多幸感に襲われてしまうから。

「……真琴。もっと舌出せ」
「あ……」

身体を好き勝手這っているほうとは違う方の手が、耳から首のうしろに差し込まれる。

名前を呼ばれたことに胸がギュッと締め付けられるせいで、涙が押し出されそうになってしまった。

口を開け、おそるおそる出した舌を久遠さんに食べられる。

明るい部屋に響く水音が恥ずかしくて、ただ、久遠さんにしがみついていると、キスをやめた久遠さんが至近距離から私を見下ろした。

「そういう顔も俺以外には見せたくねーし、でも、俺は毎日見たいし、キスしたり触ったりしたい。そういう意味での好きだ」

「……そうですか」

とろんとしてしまっていた頭で必死に理解し、それだけ答えると、再びキスされる。

じっくりと体温が合わさったからか、もう冷たいとは思わなかった。
きちんと想われていることがわかったからか、キスが気持ちいい。気持ちいいけど……。




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