エリート御曹司が過保護すぎるんです。
 バス停に着くと、3人の見知った顔が並んでいた。
 紫音と二階堂さん、新人営業社員の風間くんである。

 エアコンの効いた車内から一歩出たとたん、容赦なく太陽の日差しが照りつける。
 確かに青羽は来なくて正解だったかもしれない。


 バスのステップを降りると、二階堂さんが手を伸ばして荷物を受け取ってくれた。

「ありがとうございます。青羽ちゃんも来る予定だったんですけど、熱中症らしくって」
「そっか。でも仕方ないよ、この暑さだし」

 二階堂さんは、額に手のひらをかざしながら空を見上げた。

 今日の気温も、軽く30℃を超えるという予報だった。
 海の近くなので都心よりはいくらかマシだが、やはり暑いものは暑い。
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