エリート御曹司が過保護すぎるんです。
「暑いと思うから、これ」
二階堂さんが、ヒヤリとしたものを私の頬に押し当てた。
それは、タオルにくるまれた保冷剤だった。
座らされた場所もだいぶ涼しいのに、過保護なほどの気の遣いようだ。
「ありがとうございます」
顔を上げてお礼を言う。
すると、二階堂さんが少しかがんで私の耳もとでささやいた。
「……今日は、打ち上げの時間までいられるの?」
「いえ。最終のバスで帰る予定です」
「……そっか」
本気で残念そうにしてくれる二階堂さんはやさしい。
私みたいな部外者にも、居心地の悪さを感じさせないように配慮してくれている。
だから余計、ここにはいられない。
二階堂さんがやさしすぎて勘違いしそうになるけれど、彼には紫音という恋人がいる。
もうすぐ買い出しに行った紫音が帰ってくる。
そうなれば、嫌でも仲の良い恋人同士の姿を見せつけられてしまう。
自転車のうしろに乗せてもらったとき、ほんの少し、二階堂さんを独り占めしているような気持ちになった。
自分の恋人のように空想してしまった自分がいた。
――友達の彼氏なのに。
気付きたくなかった。
自分がこれほどあさましい人間だったなんて。
これ以上自分を嫌いにならないうちに、いますぐここから逃げ出したい。
二階堂さんが、ヒヤリとしたものを私の頬に押し当てた。
それは、タオルにくるまれた保冷剤だった。
座らされた場所もだいぶ涼しいのに、過保護なほどの気の遣いようだ。
「ありがとうございます」
顔を上げてお礼を言う。
すると、二階堂さんが少しかがんで私の耳もとでささやいた。
「……今日は、打ち上げの時間までいられるの?」
「いえ。最終のバスで帰る予定です」
「……そっか」
本気で残念そうにしてくれる二階堂さんはやさしい。
私みたいな部外者にも、居心地の悪さを感じさせないように配慮してくれている。
だから余計、ここにはいられない。
二階堂さんがやさしすぎて勘違いしそうになるけれど、彼には紫音という恋人がいる。
もうすぐ買い出しに行った紫音が帰ってくる。
そうなれば、嫌でも仲の良い恋人同士の姿を見せつけられてしまう。
自転車のうしろに乗せてもらったとき、ほんの少し、二階堂さんを独り占めしているような気持ちになった。
自分の恋人のように空想してしまった自分がいた。
――友達の彼氏なのに。
気付きたくなかった。
自分がこれほどあさましい人間だったなんて。
これ以上自分を嫌いにならないうちに、いますぐここから逃げ出したい。