エリート御曹司が過保護すぎるんです。
 午前中の練習が終わり、お昼休みになった。

 事前に注文してあったらしく、たくさんの幕の内弁当が届く。
 私の分も用意してくれていたようで、紫音や二階堂さんの気遣いに恐縮してしまう。

「桃ちゃんに、絶景ポイント教えてあげる」

 紫音はそう言うと、私の腕を引き外に連れ出した。


 体育館の横には松林があり、その向こうには海の見える広場があった。
 切り立った崖の上から、はるか彼方の水平線まで一望できる。
 なかなかの絶景だ。

 街のなかや体育館は相当暑かったけれど、潮風のあたる木陰のベンチは、外だというのに涼しくて快適だった。
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