エリート御曹司が過保護すぎるんです。
　いろんなことを考えながら海を見ていたとき、ふいに誰かが隣に座った。
　驚いて横を見ると、さっき体育館で一緒に練習をしていた本社の若い社員が、にこにこしながら私のお弁当をのぞき込んでいた。

「おひとりですか？　よかったら僕らと一緒に弁当食いませんか。スイカもありますよ」

　彼が指さす方向を見ると、レジャーシートを広げて、何人かでスイカの載ったお皿を囲んでいた。
　それほど親しくはないけれど、ときどき打ち合わせで訪ねてくる本社の人たちがこっちに向かって手を振っている。

（一応挨拶くらいはしておいたほうがいいのかな）

　紫音のほうをチラリと見ると、二階堂さんと目が合った。
　彼はツンツンと紫音の肩をつつく。するとこっちの様子に気が付いた紫音が声を張り上げた。

「こらー！　本社の社員は接触禁止ー！」

　紫音は手の甲をひらひらさせ、シッシッと追い払う仕草をする。

「相変わらず藤谷さんはおっかないな。じゃぁ和宮さん、またあとで」

　爽やかに手を振りながら、本社の社員は去っていった。
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