恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑
テラスのバーベキューにはもう、人が集まっていた。
「綾乃ちゃん、こっち!」
ヒロが声を掛けた。
「ヒロさん、お疲れ様です。」
綾乃も笑顔で答えた。
「綾乃ちゃん、ホントかわいい。」
その言葉に綾乃が、頬が熱くなった。

「おい、広樹お前…ホント誰でもいいのか?こんなチビ相手にして…。」
和弘が呆れたように言った。
「ホントかわいいじゃん。綾乃ちゃん。」

綾乃は、その言葉を遮るよに、
「ヒロさん、こいつにそんな事言っても無駄なんでいいです。どうせあたしなんて何しても変わらないし…。」
綾乃は影を落とした瞳をした。

その瞳に、和弘はヤバいという顔をしたが、すでに遅かった。
綾乃は、
「ドリンク取ってきます。」
と席を立った。

「カズ…。お前なんでそんなに綾乃ちゃんに絡むだ?」
広樹は呆れたように言った。
「お前がそんな態度だったら、俺、綾乃ちゃん本気で行くからな。」

広樹は和弘を真剣な目で見た。

「何言ってんだよ。お前。ユリはどうしたんだ。」
あくまで茶化すように和弘は言った。
「ユリとは別れたよ。」
「え…?なんで?」
「まあ、いろいろあるだろ?それより、俺、綾乃ちゃん本気でかわいいって思ってるんだよね。あの、純情そうなところも。」
広樹はニヤっと笑った。

「…もの好きだな。俺には関係ないし。」
和弘はそれだけ答えた。
「じゃあ、遠慮なく落としに行こうかな。」
そう言うと、広樹はビールを流し込んだ。
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