私に触れて、そして殺して


「凛ちゃん、竹林に入っちゃいけんよ」


その声の持ち主へと目をやる
この街て一番の年配者のハルさんだ


『はい、すごい迫力に圧倒されてました』


「いや、そうじゃない。この竹林は昔良からぬ噂が立ってのう…だから街のモノも近づかん」


良からぬ噂?
それが何なのか気にはなったが
詮索するのもなあ、と思い
気をつけます、とだけハルさんに伝えた



ハルさんや街の人たちも
竹林の中へはもう何十年も入っていないと言う
道路に面している部分だけ
タケノコが生えたりしているのを収穫するだけだと教えてくれた


タケノコの収穫時に
お誘いしてくれると、ハルさんと約束をし
私は竹林から離れることにした


まだまだ知らないことばかりだ、と
もっとこの街の事を知りたい、と思った

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