子犬男子に懐かれました
「大人大人って、俺だってそんなガキじゃねーし男舐めないでくれる?」
そう言って、私に顔を近づける
「か、からかってんのっ?!」
慌てて顔を反らした
「皐ちゃん」
そう声を掛けられ、壮介くんの方に顔を戻すと
「これあげるから元気だして」
目の前には、チョコレート。
だけど、壮介くんがいつも花ちゃんの為に買ってるチョコではない。
「いつもと違うじゃん…」
「うん、皐ちゃんはこっちの方が美味しいって言うかと思って」
おかしい
何でこんなに嬉しいって思っちゃうんだろう。
”花ちゃんと違う”ーー、
違うっていうだけで、何故か嬉しく感じる。
「私の事を考えて買ったんだ」
「当たり前。ど?美味いでしょ」
…ズルいな、壮介くんは
「うん…凄く美味しい」
口に広がる甘さと、少しだけほろ苦いビターチョコレート。