君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「貴様…!」

剣が振り下ろされる。

「カナ…」

名前を呼ぼうとするけど、後ろから口を塞がれた。

シン…?

「黙って見ていてください」

こくりと頷くと、口を塞いだ手は離された。
息をするのも忘れて、2人の間の張りつめた空気を見つめる。

金属が弾き合う音が耳を貫く。
カナトが繰り出す攻撃を、のらりくらりとかわすナツキ王子。
壁まで追いつめられたところで、上手く体制を入れ替えて攻撃に転じた。

まさに真剣勝負が繰り広げられている。
お互いに一歩も引かない激しい攻防。

「死にたいなら、今ここで殺してやろうか?」

そんな挑発を受けても顔色一つ変えないカナト。
その目は、一瞬の隙を探している。

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