君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「ねぇ、お母様!」

ベットの上で、絵本を読んでもらっていた男の子は目を輝かせて母親を見上げた。

「この城の外れにある部屋って、鏡の部屋のことかな?
ほら、ここに鏡の絵が描いてある。
似てると思わない?」

「ふふ。そうね、そうかもしれないわね」

おとぎ話を現実と重ねて話す我が子を、母親は優しく見つめる。

「あなたはこのお話が大好きね」

「うん!
いつか僕もね、
この絵本の王子みたいになるんだ!」

「そう。
きっとなれるわよ」

すると、男の子は可愛らしい笑顔を見せる。
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