君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「いいんですか、黙っても。
俺は、カナトが落ち着かないみたいだから話しかけてるんですよ。

気がかりなことがあるんじゃないですか?

例えば…、鏡の部屋とか」

「え?」

僕は作業する手を止めてシンを見た。
顔が引きつるのを感じる。

「なんです、その顔。

鏡の部屋に救世主が現れる日がもうすぐ来るって騒いでたのはカナトでしょ?
昨日の夜がその日だったんですよね?」

「僕の話、信じてたのか?」

「俺がカナトを疑ったことなんてあります?」

そう、なのか?
自信を持って「ない」とは言えないが、今回の話は信じてくれているみたいだ。
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