君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「…そうだな。
以後気をつける」

この二人はなんだかんだで仲が良い。

言い争ったら、カナトが上手く丸め込まれてることが多いようだけど。
たぶんそこまで言ってくれるシンだから、カナトにとってかけがえのない存在になってるんだろうな。

なんて考えながら、ふと空を見ると、鮮やかなオレンジ色に染まっていた。

もうすぐ一日が終わる。
それはタイムリミットを意味してる。

城の人たちから見ると私には何の価値もないのだろう。
それどころか、危ない存在かもしれない。

でも、この町の人々と歌えたことに私は誇りを持っている。

どこか切なさのあるオレンジの町の光景を目に焼き付け、これから迫り来るであろう試練に向けて拳を握る。

次に私の立つ場所がどこだろうと、もう逃げない。
そう心に誓った。
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