君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「かんせつ?」

「王子は虫を触れないんだよ。
男なのにおかしいねー」

ここで、シンが待ってましたとばかりにカナトをからかう。

「わかってるぞ、シン。
お前の仕業だろ」

「いいえ、違いますよ。
あの子が、バッタを王子に見せようかなって言ってたんで、面白い反応が見られるよって教えてあげただけです」

全く悪びれる様子もなく言い放つ。
そんなシンにカナトは、キッと目の色を変える。

「できれば止めて欲しかったんだが」

「そうですか?
以後気をつけます。

それはそうとカナト。
公の場で神楽弥に手を出そうとするのは如何なものかと」

強気なカナトの視線が、動揺して揺れる。
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