君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「へー、リンタールの歌姫か。
良い職業をもらいましたね。
これで堂々と城の中を歩けますよ」

「うん。それは本当に良かったと思ってる。
ただね…」

ずっと黙ったままでいるカナトの方をちらりと見る。

「これは…、どういうことなんだ!」

「まあまあ、落ち着いてくださいよ」

よしよしと背中を叩かれているけど、落ち着けるはずない。
それに、ちょっと顔が赤い。

私だって困惑してる。

城への出入りを許され、鏡の部屋から移ってきたわけだけど、その移動先というのが問題だった。
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