君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「君には明日から、リンタール王国の為に働いてもらう。
まずは会談後に歌声を披露してもらおう。

会談には多くの来賓を招いている。
失敗などは許されない」

「げ…」

言葉にならない声が出た。
緊張で血の気が引いていき、寒気すらしてくる。

重たい使命を受けて頭を下げたとき、ふと劇団に入って初めて主役をもらったときのことを思い出した。

純粋に楽しんでいたことに、大きな責任と覚悟が求められるようになったと感じたあのとき。
それは、プレッシャーでもあり、喜ばしいことでもあった。

今回も、あの時と同じんなんだろうか…。

とにかく、使命を全うするしかない。
私の立場で、選択肢なんてないんだ。

だったら、私にやれることはやろう。

それが皆の笑顔へと繋がるんだから。

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