君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
私だけが貰ってばっかりな気がする。

今以上のことを求めてもいいのだろうか。
ずっと、カナトの隣にいたいなんて願ってもいいのだろうか。

「…ここを、居場所だと思っていいの?」

「思ってよ」

私の迷いを消す返答がすぐに告げられた。

顔をあげると、カナトの瞳が月明かりを含んでいた。
その瞳に惹き付けられる。

カナトは、ちゃんと私を見てくれてる…。

目を閉じると、もっと近くへと引き寄せられる。

心のこもった、愛で溢れた口付け。

離れたくない。
離さないでいてほしい。

絵本で読んだ救世主は、こんな気持ちだったのかな。

今ならわかる。
愛する人の隣にいたいと願う気持ちが。
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