君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
ふと城の庭が気になった。

目をやると、そこには庭で優雅に紅茶を口にする女性と、お付きの男性。

早速問題が転がってる。

「あら、シンじゃない。
王子護衛のあなたが、こんな所で何してるのかしら?」

髪を耳にかけながら、強気な目でこちらを試すように見る。
フリルの多いピンクのドレスが、華やかさを漂わせている。

彼女は、大きな企みを持った人物の一人。

「これはこれはマリア姫。
お久しぶりでございます」

「あなたもいかが?
とても美味しいわよ」

そう紅茶を差し出されるが、丁寧に断る。

彼女は、近くにある王国の姫。
リンタールよりもはるかに大きな土地を持っている。
国王である父親が、会談に参加しているからついて来たんだろうけど…。

面倒なことになりそうだ。
< 94 / 173 >

この作品をシェア

pagetop