100点テストの祈り鶴
こんなことだからテストで平均点ギリギリしかとれないんだと自分を叱責しながら、こんな失態から目を逸らさせるために問いかけた。
「願掛け……なら、睦月君は何をお願いしているの?」
100点満のテストしか折らないなんて相当の願掛け具合とも言える。
よっぽどの願いなのだろうか。
「ん~~?そうだなぁ……」
そう思えば気になり始めたので、少し前のめりに彼からの言葉を待つ。
彼は何かを考える素振りを見せながら私に目を向け、目を細めて笑った。
「それはね、花村さんの事について。だよ」
「へ!?わたっ、私?!」
予想外の回答に裏返った声を返してしまう。
その反応について恥ずかしいと思うよりも前に、私について願掛けしていたと言われる方が恥ずかしかった。
一体どんな願い事をしているのか。
彼に対して悪い感情など持っていない為に、ほんの少し期待してしまう。なんて。
「睦月君は…」
「あっ、次移動教室だったね!急ご、花村さん」
「え、あ、そっ、そうだね……!!」
具体的な内容を聞き出そうとする前に、他でもない彼によって遮られてしまう。
バタバタと授業の用意をしながら頭は彼の事で一杯だった。
「花村さん、花村さん」
「な、何?」
もう聞くタイミングなどそうそうに現れないだろうと思っていた。
「この話、誰にも内緒だからね」
私本人に言ってしまっているのに内緒も何もないだろうけれど、本当に聞けそうにないらしい。
なんとも無邪気な笑顔でそう告げてきた。
その次の授業では小テストだったのに動揺収まらず手応えは最悪だった。