100点テストの祈り鶴
ーー
「えっ、花、居残り組なの?」
「う、うん……」
それはその日の放課後の事だった。
帰りのホームルームにて早くも散々だった小テストが返却され、平均点以下だった者は課題プリントを提出してから帰るようにと言われたのだ。
その結果、私は居残ることになった。
「今回のって平均点が80あったとは言えそこまで難しくはなかったけど、花あんた何点とったの?」
「え、えっと……」
自分でも酷い点数だと自覚しているので、周りに聞こえないようにボソボソと点数を答える。
返却されたテストを見ても、何故ここで間違っているのか理解できない程には今回のテストは易しい方で。
どう考えたってこのテストを受けた時の私が平静で無かった事が伺える。
平均点が高いだけに居残りが少ないのか、みんなそれぞれ教室を後にしていく。
「終わるまで一緒に待ってようか?」
「ううん。大丈夫。先帰ってて」
「そう?」
私の酷い点数のせいで待たせる訳にはいかないと、ひらひらと手を振る。
隣の席の睦月君は今日も満点でまた鶴を折っているのだろうと隣を盗み見ると、意外な姿がそこにあった。
「あれ?」
折鶴を作っている処か、机に向かって何かを書いている姿だった。