100点テストの祈り鶴


何とも珍しい姿で、よく見ると私がもらったプリントと同じものに文字を埋めていっているいるようだった。

つまり課題プリント。

こんなに平均点の高いテストでまさか彼が満点をとらないわけがないと踏んでいたのに、平均点以下にならないとも予想していたのにこれは一体どういう事だろうか。

あまりに珍しい光景でジッと見てしまっていた事に気づかれたのか、ふとこちらに顔を上げた。


「ん?花村さんも居残り?」


目が合うや否や直ぐに問いかけられ、この目を逸らす隙もない。

恥ずかしながらにコクコクと頷けば


「俺もなんだよねーー。次は花を折ろうと思ってたのに残念」


と笑いながら言われた。

100点を常時とる人が言えば嫌味の様に聞こえるのかもしれないけれど、私はそうは思わない。

それどころか、同じように課題をしている事が嬉しい。なんて。

彼に少し近づけた。なんて。

だって、隣の席に居ても、彼は私にとっては遠い人だったから。


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