100点テストの祈り鶴
「珍しいね?睦月君が課題だなんて」
「そりゃあ俺だって、点数が悪いときだってあるよ」
何となく楽しげにそう言う。
私も早々に課題に取り組まないと帰りが遅くなってしまうとプリントを広げた。
「でも、睦月君が課題だったら私の点数なんか気にしなくていいって思っちゃう」
と、率直な感想を述べたのだが
「え~~?でも、今日の課題俺と花村さんだけだよ」
どうやら私の考えは相当に安直らしい。
そんなはずはないと慌てて周りを見渡せば確かに課題をやっている人はいないし、皆帰り支度をしていたり放課後のお喋りに興じたりしていた。
やはり平均点が高いのにはそれなりの意味があるのだと実感し、もしかするともっと上がっていたであろう平均点は私によって下げられてしまったのかと思ったほどだ。
「ち、ちなみに睦月君は何点だったの……?」
恐怖を覚えて唯一縋れる相手に問いかける。
「52点。や~~回答欄間違っちゃってさ。花村さんは?」
瞬間にしまったと思った。
聞いてしまえば聞き返されるのなんて簡単に予想出来た筈なのに。
だからと言って答えないわけにもいかなく小さな声でまた点数を告げた。