100点テストの祈り鶴


彼にとっては特別にそんな点数を取った時の事で、あまり気にしないのかもしれないけれど、私からすれば常時があまりいい方ではないので、似たような点数だとしても恥ずかしさを覚える。

彼に対しても本当に軽率だったと反省した。

居たたまれない気持ちを抱きながらも課題に集中しようとすると、弾んだような声が投げかけられる。


「花村さん、花村さん。そのテストちょっと貸して」

「え!?あ!?」


どうぞと言う間もなく、嫌だと拒否する暇もなく、傍らに置かれたテストが奪われる。

酷い回答の嵐を見られるのはとても恥ずかしい事で、今すぐに取り返そうと立ち上がろうとしたところで


「見て見て。俺52点で花村さんが48点。二人で100点だ」


と無邪気な笑顔でテストを向けられては何も出来はしない。

ただただ、その嬉しそうな表情を見てしまう。


「ってことは、このテスト2つ使えば願掛け出来るね」


なんて言いながら、いそいそと折り紙を始める。

何故そんなに願掛けをしたがるのか、よく分からないけれど。

こんなテストを使ってまでまた折り始めるなんてやっぱり変わった人だった。


< 8 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop