冷血部長のとろ甘な愛情
廊下を歩いていると、反対側から本郷仁史(ほんごうひとし)専務が歩いてきた。

本郷専務は商品部の元部長で、社長の息子だ。それと……


「晴生も一緒だったんだ」

「仁史さ……あ、本郷専務、もしかして俺に用で?」


晴生? ああ、部長の下の名前……でも、お互い下の名前で呼びあうほどの親しい仲?


「うん、そう。ところで神原、こいつ顔怖いけど、みんなとうまくやっている?」

「ええ、まあ、大丈夫かな」

「なんだか歯切れの悪い言い方だな。何かあれば遠慮なく俺に言ってね」

「了解です」


私は専務に向かって、敬礼のポーズをして笑った。それを見ていた部長が不思議そうに専務と私を見る。


「本郷専務、神原さんと仲がいいんですね」

「ああ、神原は教え子なんだよ。昔塾でバイトしていた時に生徒だった」

「へー」


そう、私が中学生の時の塾の講師が専務だった。専務はその時、大学生。まさかの再会で驚いたけど、変わらず気さくに話しかけてくれるので、私も砕けた口調になってしまっている。
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