冷血部長のとろ甘な愛情
坂本くんのおかげでここから離れられる。気が利く坂本くんに感謝。明日コーヒーでも奢ってあげよう。


「待て」

「えっ?」


またもや腰を浮かせた時に腕を掴まれる。いい加減にしてください。


「俺も一緒に行く」

「は? あの、女子トイレに行くので部長は入れませんよ? ここで待っていてください。あ、他に行ったらどうですか? あっちの方とか楽しそうですよ」


私が指差すあっちの方に部長は目を向けたが、顔をしかめる。

そこには部長を狙っているという女性が二人ほどいて、ここに来るまでに部長がいた場所だ。

それなのにここに来るから私はさっきから睨まれていて居心地がよくない。ぜひあっちの方に戻っていただきたい。


「あそこはくさいから嫌だ」

「えっ? くさい?」

「あー、確かに香りがきついですよね」

「だろ?」


坂本くんが同意してくれたのが嬉しかったのか、部長は機嫌良さそうに頷く。ついでに坂本くんは空いているグラスにビールを注いで部長に渡した。

そんな坂本くんが気に入ったのか部長の手が私から離れる。

よし、今のうちに。
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