冷血部長のとろ甘な愛情
「神原さん、用が済んだらここに戻ること。いいな?」

「ええっ!」

「決定事項だからな」


こんなところで決定事項だと部長権限を出すのはずるい。だけど、言い返さずにまずは本当に姿の見えない奈由ちゃんを探しに行く。

トイレを見たけど、いない。どこか物陰で気分が悪くなってうずくまっているのかと探してみるが、それらしき場所にはいない。

どうしたのだろう?

腕組みをして、首を傾げているとポケットの中のスマホが揺れる。

画面を見ると尋ね人奈由ちゃんからのメッセージの着信だった。


「えっ、嘘でしょ? まったく……」


彼が迎えに来たから帰ります!との文字とペコリと犬が頭を下げたスタンプが表示されていた。

まだお開きにもなっていないのに抜けるとは……奈由ちゃんは仕事は真面目だし、責任感もあるので途中で放り出すとかサボるとかはしない。

だけど、仕事でなくなると自由奔放になる。今日みたいなことは初めてではないけど、いつもなら直接私に言ってから抜けていく。

慌てていたのかな。


「おかえりなさい。宮田さんはいませんでした?」

「具合が悪いからと帰ったわ」
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