冷血部長のとろ甘な愛情
「最近、部内がピリピリしてますよね」

「うん、部長のせいかな」

「でも、指示が的確で出来る人だなと思いますね。あの年齢で部長になるのも納得出来ますよね」

「うーん、まあそうね。全然関わりのなかったとこから来たのだから、それなりに実力があるというか期待されているんだろうね」


平沢部長がうちの部に着任して数日だが、彼の情報はもう部員全員に伝わっている感じだ。それだけ興味が持たれる人物ということかな。

前職は情報システム部システム課の課長で、その課長職に就いたのが二年前だというから、たったの二年で部長に昇任とは異例な速さの出世となる。

年齢は私より三歳年上の33才。年の差はあまりないが、身分の差がある。


「夏鈴さん、部長狙います?」

「いや、パスかな」


威圧感たっぷりで厳しそうな部長だが、かなり将来有望とみた女性社員が一人、二人、三人、四人……何人かは詳しく知らないけど、結構な人数が恋人の座、ゆくゆくは妻の座を狙っているとか。


「狙ったとしても手強い相手ですよね。女嫌いって人をどうアプローチするんでしょうね」

「そうねー」
< 6 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop