冷血部長のとろ甘な愛情
人の質問には答える気がないようだけど、私も負けてはいられない。なんの勝負だか分からないが。

「そうか。じゃあ、分からないことがあったら聞くから、その時は教えてくれないか。よろしく」

「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」


勝負に挑もうとしていたのに、いきなり頭を下げられて、私も慌てて立ち上がり、頭を下げた。

挨拶が基本だとも言っていたし、礼儀正しくて良い人なのかも。

そんなことを思ったが、数日後に前言撤回したくなる出来事が起こった。



数日後の昼休み、わが社自慢の社内食堂で奈由ちゃんと向かい合って座る。

ビュッフェスタイルのこの食堂は1食350円という安さから利用する人が多く、今日も大勢の社員が集まっている。デザートだけは一人1品という決まりがあるが種類が豊富なのでいつも迷う。

今日は、ブルーベリーソースがかかったクリームチーズケーキを選んだ。

私は、肩下15センほど長さで緩やかにウェーブがかかった髪を濃紺色のシュシュでまとめてから、小さく「いただきます」と言って、食べ始めた。
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