冷血部長のとろ甘な愛情
私が塾に通っていたのは中学生の時。私と部長は三歳違うから、その頃部長は高校生だったはず。そして、専務は大学生でバイト講師をしていた。

中学生の時、高校生は大人っぽく見えたし、大学生は大人だと思った。でも、今は私も立派な大人で部長や専務とそう大差のない年齢。同じ30代だし。

あれ……同じ塾に行ってたということは……家が近いから?


「ああ、そうか!」

「なに神原さん、どうしたの?」


ふと思い浮かべたことで何かが繋がるように感じ声を張り上げてしまい、周りに迷惑になると口を手で押さえた。

専務はそんな私に笑いながらも優しく聞いてくれる。一方部長は大きな声を出すなというふうにじろりと見てきた。分かっていますよ……。

とりあえず部長の視線はおいといて、専務に向かって答える。内容は専務のことではなくて部長のことだが。


「私と部長、専務は知っているかもしれませんが、利用している駅が同じなんですよ。つまり家が近いということになると思うんですけど、だから塾も同じところだったのかなと思いまして。あの塾、駅の近くにあるじゃないですか」
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