強がり女の唯一の男
新人ということで理不尽な扱いを受けることがあった安達君は、私を飲みに誘ってきては愚痴をこぼした。
そんな安達君を、
「上司を見返してやればいいんじゃない!? 安達君ならできるよ!」
と励まし続けた。
私たちが二人だけで飲む日がどんどん増えてきた ある日 安達君に
「池上、俺と付き合わないか?」
と言われた。
私も安達君も仕事に慣れるのがやっとで、しばらく恋愛をしていないことはお互いに知っていた。
・・・でも、安達君が私を女として見ているなんて思いもしていなかった。
私は突然の「付き合わないか?」発言にただただ唖然としたことを覚えている。
「・・・って言っても、今と変わんないか!?」
と笑った安達君が凄く愛しく思えた。
楽しいばかりではない仕事。 その中で支え合える存在が居てくれることは心強い。
そんな風に思った。

安達君と初めて肌を重ねた時は、幸せとも嬉しいとも感じる余裕が無く、恥ずかしさばかりが募ったっけ。
あの行為はお酒が入っていないと無理だな・・・と思ったほど。
素面で・・・なんて恥ずかし過ぎ!!!
そういえば、前の彼氏の時も私はそういう感覚だったな。
とにかく裸を見せることに抵抗を感じてしまうし、声も、恥ずかしくてしょうがなくて我慢ばかりした、本当に苦痛の時間だった。
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