強がり女の唯一の男
「・・・不満、あったんじゃない」
私のそういう所が不満だったんでしょ?
「だけど、それを言わなかったのは、そんなことで池上に嫌われたくなかったから・・・
それだけ、池上と一緒に居たかったからだ!」
「・・・だから、それならどうして浮気したの?」
結局は堂々巡り。
「それは・・・酔った勢いっていうか・・・」
「違うでしょ? 本当は私に不満があったし・・・それに私とでは楽しめなかったからじゃないの?」
「・・・え・・・」
図星か。
「私以外の人を抱きたくなったんでしょ?」
「違うっ!」
焦った口調になった。
「私の反応はつまらなかったでしょ?」
「ちが・・・う」
「でも他の人を抱いても満足できなかったのは何故?」
「・・・気持ちの伴わない行為だった・・・朝 目覚めて気持ち悪いくらい後悔した」
気持ち悪いだなんて、本当に女性に対して失礼。
「その人のこと、嫌いじゃないから抱いたんでしょ?」
「・・・」
沈黙は肯定しているということ。
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