強がり女の唯一の男
もう0時半を過ぎている。
私はゆっくりお風呂に入った後、買ったままで読んでいなかった小説を読んでいて思いがけずに時間が過ぎていた。
・・・安達君から電話こないな。
早く帰れたら電話くれるってことだったっけ?
じゃあ、電話こないのかな?
・・・一応、連絡してみようかな?
私はメールでは無く、電話をかけた。
切ない恋愛小説を読んだせいだろうか? 安達君の明るい声が聞きたくなった。
プルルルル 数回コールして電話が繋がった。
「・・・」
無言の電話。
あれ? 安達君の番号にかけたよね?
「あの、安達君?」
私が訊くと、
「安達さん、寝てますよ」
と可愛らしい女の人の声。
「・・・あの・・・どちら様ですか?」
「そっちこそ、どちら様?」
「私は・・・池上と申します」
「池上小雪さん?」
「はい」
「ああ、安達さんの元カノの池上さんですか。 どうしたんですか?」
元カノ!?
「あの、安達君は?」
「安達さん寝てますって」
飲み会の席で眠ってしまっているんだろうか?
「どこで?」
迎えに行った方がいい? 能天気にもそんな事を思った。
「ホテルですよ?」
はっ!? ホテル!?
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