強がり女の唯一の男
家に帰り、久々に家族で食卓を囲んだ。
父も母もとても嬉しそうで、一緒に食事するだけで親孝行をしている様な気分になった。
「小雪、仕事忙しそうだが、体調は大丈夫か?」
父が訊いてくる。
「うん、少し疲れが溜まっちゃってるみたい・・・だから残業はなるべくしないようにする」
「安達君とは? 会ってるの?」
今度は母。
「会社では毎日の様に顔合わせてるよ」
「そうなの? そんなに仕事ばかりじゃ振られちゃうんじゃない?」
「え? まさか!?」
私はその時、母の言葉を全否定して笑っていた。
その数時間後にあんなことになるとも知らずに。
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