EGOIST
「お前らってホント面倒くさい」
「面倒くさくて結構。誰かに理解してもらおうとも思わない」

言いながら、ダンテは立ち上がった。

「んじゃ、俺はいくぜ。これからデートなんでね」
「へーへー」

そうして2人は別れる。

ダンテは店を出て待ち合わせ場所に向かう。
デートと言っても恋人とかそういうわけではなく、単なる知り合いだ。

ダンテは歩きながらついさっきのイアンとのやり取りを思い起こす。

エレンに恋愛感情を抱いているのは事実で、おそらくエレンにも同じ感情を抱かれていることにも気づいている。
それは、エレンも同じだろう。
だが、いや、だからこそ自分達は世間一般で言うところの恋人にはならない。
だからこそ、ダンテはエレンの側には踏み込まないし、エレンもダンテを踏み込ませないという暗黙の了解ができているのだ。
それが互いのためなのだ。

ダンテは1つ息をついた。
なんと自分は厄介な相手を好きになったのか。
それはエレンにも言えることだが。

「ま、こればっかりはどうにもならないんだよなぁ」

人の心とは面倒だ、とダンテはもう一度溜息を吐き出した。




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