EGOIST
だが、エレンに対してはどうか。
普段の彼を知る学校の友人達が見ればおそらくは驚くだろう。
それくらいに、彼女との付き合いは長く、態度も違うのだ。

しばし無言で互いの様子をうかがっていたが、ダンテのほうが折れた。

「あー、もう。はいはい。認めますよ。確かに俺はエレンが好きですよ」

降参、というように両手を上げ、ダンテは溜息とともに吐き出した。

「だからどうしろってんだ。告白しろって?恋人になれって?それとこれとは別問題だろう」
「別問題か?」
「別問題だ。少なくとも俺にとっては。俺はそっちに行く気はない。エレンも俺を踏み込ませるつもりがない。恋人になるってのはそういうのはその真逆を行くってことだ。それは俺もあいつも望んじゃいない」

ダンテの言葉に、イアンは何も言わない。

「俺はゲームで言うところのNPCだ。そうさな、立ち寄った街にある宿屋の店員くらい?NPCが主人公を支えてられるのは一時だけだ。そこに恋だの愛だのはいらない。主人公には主人公にふさわしい相手がいるもんだ。それは、俺じゃない」

だから今のままでいいのだと、今の関係が正しいのだと、ダンテは言う。

そんなダンテをイアンはしばらく無言で見つめていたが、溜息を1つついた。

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