EGOIST
「まぁ、私の好きな花だわ!」
「それはよかった。花瓶、使わせていただいても?」
「えぇ、もちろんよ。ありがとう」

嬉しそうに笑うマーシャに、エレンはこっそりと安堵の息をついた。
花瓶に水を入れて持ってきた花束をそれにさし、サイドテーブルに飾る。

それから2人は他愛のない話をする。
大体はエレンの日常についてマーシャが質問し、エレンがそれに答える、という形だ。

「でも、少しホッとしました。随分と良くなったけれどまだ全快ではない、と聞いていたので。顔色もいいですし、何よりとても嬉しそうです」

「何か、いいことがありましたか?」とエレンが尋ねると、マーシャがパチパチと目を瞬かせる。

「凄い、どうしてわかったの?」
「昔から、そういうことを見抜くのは得意なんです」

そうエレンが言うと、マーシャはまるで子供の様に「すごい!」と言って笑った。

「実はね、私の子供が会いに来てくれたの」

そう、嬉しそうにマーシャが言った。

「お子さんがいらっしゃるんですか?」
「えぇ、三つ子よ。女の子が2人に男の子が1人。リリィとエーデルワイスにノエルというの」

そう言い、彼女は3人の子供の特徴を嬉しそうに語る。
リリィは肩甲骨あたりまである金髪と青い目の少女。
エーデルワイスは黒髪を腰のあたりまで伸ばした青い目の少女。
ノエルは、襟足の長い黒髪の青い目の少年。

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