EGOIST
「どうやら薬の被験体に使われていたようでね、随分と衰弱していたが、命には別条はないよ」

コンスタントの言葉に、ふとエレンは息をついた。
だが、その表情は硬いままだ。
話がまだ終わっていないことを、エレンは分かっているからだ。

「それで、その子供の服にこれが入っていてね」

そういいながら、コンスタントがポケットから何かを取り出した。
それは小さな袋で、中には何かが入っている。
エレンはそれを手に取り見る。

中には小さな錠剤が1つ。
一見すれば薬局で売っている物と大して変わらない錠剤だ。

「これがあの子たちが飲まされた薬なのかどうかは分からないし、これがあの子たちが自分でポケットに入れた物なのか、誰かが意図的に入れた物なのかは分からない。だが、まったく無関係とも思えなくてね。被験体にされている子供が彼らだけとも限らない」

コンスタントの言葉に、彼が言わんとすることをエレンは悟った。

「つまり、その子供達を被験体にした誰かを突き止め、被験体になっているほかの子供がいた場合はそれを保護しろ、と」

エレンの言葉に、コンスタントは笑みを浮かべた。
肯定を示すそれは、話の内容とは裏腹に、慈悲深い神父のそれだ。

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