EGOIST
「何が起こるかわからんからの、十二分の用意をしていってくれ。ダンテも、うちにある装備を好きなだけ持っていくといい」
「そう言ってもらえるとありがたい。あのヤロウの事だ。実験成果とやらがどんなもんかは知らねぇが高ランクのアルマ相当の何かを用意してやがると思った方がいいでしょう。さすがにそんなもんとは生身じゃやりあえませんわ」

そうダンテが肩を竦めた。
その反応は現状の危険性に反して軽い。

「なんで、そんなに悠長に構えてられるんだ。エレンお嬢様が攫われたんだぞ。もしかしたら…………」
「ボディーガードの役目を果たせなかった奴の言葉とは思えねぇですね」

ダンテの言葉に眉を寄せた若い男がダンテを非難するが、ダンテの言葉に逆に黙らされてしまった。

「別に悠長に構えてるつもりはないんですがね。まぁ、あいつが死ぬことはないでしょう。少なからず、俺が行くまでは。エレンを拉致した理由が俺を誘き出す餌だっていうんなら殺しちゃ意味がない」
「だな。急いては事を仕損じる、てね。焦るのと迅速な行動は意味が違うぜ、お兄さんがた。それにの事だ。ただ捕まってるなんて有り得ねぇよ」

ダンテはいたって冷静に意見を述べ、それをイアンは肯定する。
イアンに至っては楽しげに笑っている。

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