EGOIST
「んじゃ、ちょいと用意させてもらいますわ。あぁ、ちょいと物を取りに戻りたいんですが、作戦結構はいつですか?」
「1時間後だ。それ以上は待てん」

それまで黙っていたヒューの横に立つがっしりとした体つきの男が言った。

「十分。んじゃ、いったん失礼しますよ」

そう言い残し、ダンテは部屋を出た。

エレンを拉致したフィランダーや、彼女の近くにいながら守れなかった3人の男に怒りがこみ上げる。
だが、頭は意外なほどに冷静にこれからのことを考えている。
怒りより何より、エレンの救出のほうが断然優先順位が高いせいだろう。

脳内にチラリと、いつかの映像と何かを囁く声が聞こえた気がするが、ダンテはもうそれを気になど留めなかった。




< 140 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop