EGOIST
「死んだのだと聞かされていた3人が生きていたことが、とても嬉しかったと。皆とても可愛くて、これまで共に過ごせなかったことがとても惜しい。写真を撮っていれば、私に見せたかったとも、仰っていました。そう語る彼女は、凄く楽しそうで、嬉しそうで。そして、貴方方の母親であることが誇らしいという顔をしていらっしゃいました」

エレンの言葉に、黒髪の少女の顔にわずかに喜色がにじむ。
どうやら、彼女のほうが金髪の少女より感情が表に出やすいようだ。

「アンタって、俺達に正義がどうのって言わないんだな」

黒髪の少年が口を開いた。

「そんなことをいう風に見えますか?」

エレンが首を傾げた。

「だってアンタ、フェアファクスなんだろ?フェアファクスは王様のお気に入りで、この国の正義なんだろ?」

いったいどんな説明をうければそんな風に思えるのか分からないが、とりあえず色々間違った知識を教えられていることだけは分かる。
それがわざとなのか、教えた人間が本当にそう思っているのかは定かではないが。

「歴代のフェアファクス当主がどうであったか私は知りませんが、少なからず私は自分のやっていることを正義だなんて思ってはいません。だから、誰かにそれを語るつもりもない」

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