EGOIST
それにコンスタントは礼を言う。
それから「あぁ、」と思い出したかのように言葉を続ける。
少しばかりわざとらしさを感じたのはきっと期のせいではない。

「子供達に酷いことをした連中をどうするかは君に任せるよ。警察に突き出すなり、あちらの方々に情報を流すなり、好きにしてくれて構わない」

コンスタントは笑みを浮かべた。
その笑みは先ほどまでとは異なり、とてもではないが聖職者のそれではない。
そんなコンスタントに、エレンは呆れたような顔をする。

「素が出てますよ、神父様」
「おっと、いけないいけない」

そう言い、コンスタントは口元を手で隠す。
その手を取ると、今度は慈愛に満ちた笑みの形になっており、雰囲気も神父のそれだ。

「それでは、これはお預かりします。報酬については後日相談させてください」
「あぁ、よろしく頼んだよ」

薬の入ったパックをジャケットのポケットに入れ、エレンは建物を出るべく扉に向かって歩き出した。

「あぁ、そうだ」

エレンが取手に手をかけた時、コンスタントが思い出したように口を開いた。
エレンはその声に振り返った。

「時間のある時に子供達の相手をしてあげてくれるかい?彼ら、君と過ごす時間が好きだから」
「それは光栄ですね。今度、何かお土産を持って来ますね」

そう言ってエレンは笑みを浮かべた。
そして建物から出た。

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