EGOIST
方法は定かではないが、外から連れてこられる人間が何人かいたが、その姿が鉄製の分厚い扉の向こうに連れていかれた後、戻ってきた回数はそう多くはなく、その後もあの獣に殺されたり、自分で命を絶ったりして、最終的にダンテの周りに残っていたのはたったの3人だった。
とは言っても、まともな会話など交わすことはなかった。
正確には自分の事で精一杯でそれどころではなかったのだが。

そんな生活が終わりを告げたのは唐突だった。
軍服に身を包んだ男達が突然現れ、あれよあれよという間に研究者たちを連れていった。
そしてダンテを含む4人は保護される。

だが、ダンテは彼らを敵なのか味方なのかを判断することが出来なくなっていた。
しばらくの間研究者と自分を襲う獣に囲まれた生活をしてきたせいか、あの3人かそれ以外かとしか認識できなくなっていた。

耳元で声がした。

コロセ
コロセ
スベテコロシテシマエ
ソウスレバラクニナレル
ソウスレバスベテカイケツスル
ダカラコロシテシマエ

それがもう、自分の意志であるのかそうでないのかすら、彼には分からなくなっていた。
そうしてダンテが動こうとした時だった。
小さな手が、ダンテの手を掴んだ。

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