EGOIST

5

建物内は外と同じように静まり返っていた。
1階は広いエントランス。
奥にあるエレベータが1台、5人の到着を待ちかねていたかのように扉が開いた。

「さっさと来い、ですって」

「どうします?」とダンテがエルドレッドに視線を投げた。
あれに乗らないという選択肢はダンテの中にないのだが、一応指揮官の意見を聞く。
ここで例えエルドレッドが乗らない選択をしたとしても、ダンテは1人であれに乗る気でいるため、ダンテとしては別にどちらでも構いはしないのだが。

「乗るしか選択肢はあるまい。警戒は怠るな」
「りょーかい。ま、あれにはなんの仕掛けもないでしょうけど。危ないのはあれが辿り着いた先だ」

軽い調子のダンテに、エルドレッドは溜息をついたものの特に咎めることはしなかった。

「エルドレッドさん、あいつ連れてきてよかったんですか?」

ぼそり、と男が声を潜めて尋ねた。

「あいつ、アルマでもなければ訓練を受けてるわけでもない。フィランダーのお気に入りだったそうですが、とてもそんな風には見えません」
「それに、もし本当にフィランダーのお気に入りだったのだとすれば、裏切られる可能性も………」

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